2018年06号ジャンプ感想(古味直志先生【eの原点】&新年ショートギャグフェスタ掲載号)

【ONE PIECE】890話感想:ビッグマム、痩せたらかっこいい


身軽になったビッグマムが想像以上にエイリアンっぽくて、かっこいいです。




(C)尾田栄一郎



最初が太っていたからこそ、今の身軽なビッグマムがすごく強そうに見えますね。

フリーザの第二形態から第三形態になったときのように、やはりビジュアルの変化は大事なんだと実感します。


【Dr.STONE】41話感想:細かい所で説得力が増す



(C)稲垣理一郎/Boichi


相変わらず稲垣先生は、細かい所でしっかり理由を書いてくれます。
正直、風呂に入ったぐらいで肺炎が収まるのかーとか、そういうツッコミはできそうですが、根拠を書かないよりも何百倍もマシです。

在るのと無いのとじゃ、受ける印象が全く違います。



【約束のネバーランド】69話感想:少年漫画っぽい


おおお……すごく少年漫画っぽい。



(C)白井カイウ・出水ぽすか


こういう、新キャラが一挙に出てくるのって、小説だとまず無理で、漫画特有の手法ですよね。

長くネバーランド読んでるけど、ここまで少年漫画っぽいシーンは久しぶりに見たよ。


因みに、私のお気に入りはサブリーダーのソーニャちゃん。



(C)白井カイウ・出水ぽすか


如何にも死にそうだったり、主人公に文句を言ってヒステリーになりそうなツラがたまらない。
この子の掘り下げに期待します。





【ブラッククローバー】139話感想:パラダイムシフトが唐突


メッチャ、感想が難しい。

いいシーンだとは思うんだけど、認めたくない自分がいる。

どこかって言うと、このシーンですよ。



(C)田畠裕基


客観的に見れば、メッチャいいシーンですよ。
弱い奴らが、やられても諦めずに立ち向かって、
今まで妹ひと筋だった偏屈な男が、仲間を守ることを決意してるわけです。

まるで『クレヨンしんちゃんオトナ帝国の逆襲』で、しんのすけが諦めずに東京タワーを駆け上がるシーンのように、胸にこみ上げてくるものがあります。

でも、同時に、ビミョーな違和感を覚えてしまうんですよ。

この違和感の正体が難しいんですけど、とりあえず右の2人が唐突に感じてしまうんです。

この2人、ゴーシュに比べると、そんなに活躍してないわけじゃないですか?

そんな2人が叫んだところで、ゴーシュの考え方、価値観が変わるのかな、と。

ゴーシュって、少なくとも今の今まで、妹のマリー命だったわけで、その価値観が変わる瞬間は、かなり劇的であって欲しいんですよ。

それがアスタではなく、ゴーシュよりも活躍してない奴らによって、価値観の変化が起きるのは、何だか腑に落ちないなぁ、と思います。





【僕のヒーローアカデミア】165話感想:沢山のキャラがいるからこそできる面白さ



中身は色々置いといて、一番笑ったのはここ。





(C)堀越耕平



『テメェ、人の話きいてたのかコノヤロウ』って表情がうまい。


次に笑ったのがここ


(C)堀越耕平



堀越先生は沢山のキャラを描けるから、こんな風にゴチャゴチャとみんなで話すシーンがすごく面白いですね。

そのあたりは、逢魔ヶ刻動物園の頃から変わってないなぁ。




【鬼滅の刃】92話感想:ボキャブラリーが無いくせに、凄く心に響く悪口


すごいですよ。
敵の妓夫太郎の悪口が『みっともねぇなあ』を連呼してるのに、全然ダサくない。
むしろ、妓夫太郎のキャラが凄く深掘りされて、魅力的になってる。





(C)吾峠呼世晴


『みっともねぇなぁ』って言ってるだけなんですけど、指摘する所が凄く多岐に渡っているんですよね。
だから、飽きない。
飽きないから、だんだん妓夫太郎と読者の距離が縮まって、妓夫太郎が魅力的に見えてくる。

そもそも、こんな6ページに渡って主人公をバカにし続ける敵キャラって、なかなかいないですよ。
ここまで主人公を落とすからこそ、この後の逆転がすごく映えるんですよね。

キャラの丁寧な深掘りが見れて満足です。


【ぼくたちは勉強ができない】45話感想:桐須先生の妹、三春には若干の無理がある



主題とは違うんですけど、相変わらず桐須先生が可愛い。


(C)筒井大志


先生!相手は高校生だよ!
流石に大人としてアウトだよ!!

そんなダメっぷりが好きです。


で、妹の三春ですが、『四字熟語』連打というキャラ付けをしてきました。
なんでしょうね。桐須先生の熟語連打は可愛いんですけど、四字熟語になるととたんにムカつきます。
なんでだろう。上手いこと言ったやろ?みたいなドヤを感じるからでしょうか。



(C)筒井大志


あと、これは最早、難癖レベル感もあるんですけど、なーんかこの子、自分が言いたくて四字熟語言ってる気がしないんですよね。
なんとなくですが、姉に憧れて真似してるだけって気がします。

私はネットスラングとかも含めて『そいつが本心から考えて喋ってない言葉』が大嫌いなんですけど、三春にはその匂いを微かに感じます。


あと、最後の思考にも無理があるよ。


(C)筒井大志


『思い込みが激しい』っていうキャラ付けがあったとしても、

・2人が半同棲
・行成がいるから姉はフィギュアに戻らない
・行成に「女」を教えれば解決する

と、2ページでどんだけ思い込むんだよ!
発想が飛躍しすぎていて、まるでついて行けません。


ということで、桐須先生は大好きですが、妹の桐須三春、私は大嫌いです。





【食戟のソーマ】245話感想:もも先輩が敗北フラグすぎて見てられない


前回の田所VSももでは、もも先輩がずっしりとした存在感を醸し出していましたが、今回は非常に軽いです。
焦ってるといってもいいかもしれない。

もも先輩の良さって、小さくて可愛らしいみためとは裏腹に、重苦しく喋るところだと思うんですけど、こんな風にちょこまか料理しちゃうと、キャラの魅力が死んでます。
言ってみれば、戦う前から敗北していると言ってもいい。

これだと、えりなが勝ってもカタルシスが得られないので、イマイチですね。
敵キャラの上を乗り越えるのはいいけど、敵キャラが下に降りてきちゃ駄目ってことですね。


【eの原点】古味直志先生の読切



先に言っとくと、私は古味直志先生が好きではありません。
『ニセコイ』は話に無理があったし、マリー編なんてツッコミ所が多すぎて、見れたもんじゃありませんでした。

でも、今回の【eの原点】は、かなり良く出来てるな、と思いました。
流石は古味直志先生。もはや、ベテランです。

まずですね、eスポーツという題材がいい。
ネット民からすると、最早、当たり前の概念かもしれませんが、この単語を知らないジャンプ読者も多いはず。
それをいち早く取り上げたのが大きい。
『こち亀』とかもそうですが、時代に敏感に反応した題材は、それだけで面白いです。



(C)古味直志


勿論、eスポーツに詳しい人からすると、色々ツッコミたいのはわかりますよ。

・この作品じゃあ、eスポーツの魅力が全く伝わらない
・現実には、あそこまでの舐めプはそうそうない
・そもそも、eスポーツは格ゲーだけじゃない。FPSやDTCGだってあるんだ

などなど、挙げればキリがないでしょう。

でも、この作品は短編で、殆どの読者にとっては、そもそも『eスポーツ』って概念自体に馴染みがないと思うんですよ。
そういった読者の状況、知識レベルを踏まえた上で、古味先生は敢えてここまで簡略化した表現をしてると思うんですよね。

その技法に感動しました。
素晴らしい。


ストーリーもメッチャテンプレで、ヒロインが車に轢かれて怪我とか安直の極みですが、これも極限までストーリーをわかりやすくするための工夫だと思います。
ここで無駄にページを食っても、作品のテーマがぼやけるだけです。

あくまで古味先生がこの作品で伝えたかったことは『ゲームは最早、遊びじゃないんです。大人が本気で情熱を注いでいいものなんです』ということで、他は全部おまけなんですよね。

この作品がこのまま長編になったら、そりゃーもう、私はボロクソに言いますけど、少なくとも短編としては、かなり濃い、いい作品だったと思います。





【新年ショートギャグフェスタ】感想:仲間只一先生の『なかまんが地獄変』が面白い


『魔法少年X』の仲間只一先生が参加してて驚きました。
先生、ギャグもイケるんですね!



(C)仲間只一


まーギャグがイケるというより、仲間只一先生なりの『あずまんが大王』って感じですが、どっちにしろ、凄く好きです。
ヘリコプターで隣の机を見る所とか笑ったわw


仲間先生は分かりやすく、今いろいろと試されて、修行の真っ最中だと思うんですけど、ぜひともそのまま上にいって、傑作を読ませて頂きたいです。

多分、今一番楽しみな新人さんです。
応援してます。


【ハイキュー!!】284話感想:細かい描写で驚異が伝わる


今週びっくりしたのは、このシーンです。



(C)古舘春一


このシーン、凄くないですか?
『こいつのサーブの間がきらい』って言わせるだけで、宮(治)の驚異と独自性がこれでもかっていうぐらい伝わってきます。

こんなに自分のペースでサーブをするやつはいない、というキャラ立てと、
こいつのサーブ強いから、待ってるだけで胃が痛い、っていう嫌らしさが、こんなワンシーンだけで伝わってきます。

どんだけ一言に深みを与えてんだよ、と驚きました。


【ゆらぎ荘の幽奈さん】93話感想:葛城ミリアちゃんは思ったよりもいい娘


前回の引きからして、葛城ミリアは強キャラかと思ったんですが、思った以上に真っ直ぐな、ただにロリ狐でした。



(C)ミウラタダヒロ


てっきり、ロリババアが来ると思っていただけに、ちょっと肩透かし感がありますが、これはこれでよし。

この歳で生意気だったら、ブチ殺したくなるクソガキなんですけど、むしろ、とってもいい子なんですよね。


(C)ミウラタダヒロ


ちゃんと、無関係の呑子に謝るのがポイント高い。
これ、緋扇様なら絶対あやまらないよ。

とりあえず顔見せ程度みたいですけど、また再登場してほしいですね。


【火ノ丸相撲】175話感想:まさかのアニメ化



(C)川田


アニメ化!?
マジで!?

すごいです。
平成も終わろうかというこの時代に、昭和の匂いを引っさげて、ついにアニメ化まで行っちゃいました。
マジですごい。
感動した。


本編はレイナと火ノ丸のLINEが可愛かったです。
おわり。



(C)川田



【ROBOT×LASERBEAM】39話感想:結果を先に見せるってどうよ


ロボが350Yを飛ばすんですけど、『過程』ではなく『結果』を強調してきました。


(C)藤巻忠俊


このシーンの後に『どうやってここまで飛ばしたのか』という解説が入るので、すごくインパクト重視なんですよね。
『黒子のバスケ』だと、それでもいいんですけど、ゴルフだとイマイチに見えます。


理由はふたつで、まず一つは、ゴルフが過程の試行錯誤を楽しむスポーツだと言うこと。


ゴルフの醍醐味はやっぱり、18コースの中で起きるトラブルに『どう対処するか』を考えるのが面白いわけで、ビュンビュン飛ばすだけのシーンを連打してもしょうがないと思うんですよ。

そして何より、漫画として、すごく単調になりやすい。

バスケだと5人いますから、色んなキャラが取っ替え引っ替え活躍するので見てて飽きないですけど、ゴルフだと1対1なんで、どうしても飽きてきちゃいます。
かといって、一人のキャラで色んなシーンを見せると、今度は矛盾や違和感が出てつまんなくなりますし。


ゴルフの敵は相手プレイヤーだけでなく、18コースであり、コース設計者なんですけど、ROBOT×LASERBEAMではその要素が今のところ排除されてるんで、すごく単調になってるんですよね。

要は、藤巻先生の作風とゴルフっていう題材がかなり相性が悪く、シナジーが薄いので、ここをなんとかしないと打ち切りは近いと思います。




【シューダン!】最終回


終わりました。
よくここまで持ったな、という印象です。
結局最後まで、一番キャラが立ってたのが鴨志田でした。

ロクちゃんより、ナナセより、鴨志田が一番、見てて面白かった。

敗因は色々在ると思いますが、一番は、主人公のキャラの薄さですね。
『進撃の巨人』の作者さんとかもそうなんですけど、この手の作者さんって、主人公のキャラがメチャクチャ甘いんですよね。

主人公が何考えてるか分からないし、何がしたいのかもイマイチ決まってない。
設定としては決まっていても、キャラが何に情熱を持ってるかが、イマイチ決まっていない。

結果として、作品がどこに向かうのかわからない。
主体性が無いんですよ。

多分、横田先生は、リアルな人間模様とか、サッカーという知的ゲームの面白さを描きたかったんだと思うんですけど、主人公が固まらないままスタートしちゃったので、ふわふわしたまま、打ち切りになった印象です。

何度も言ってますが、絵はジャンプ史上で見てもトップクラスだと思います。
ぜひ原作を付けるか、もしくは鴨志田レベルのクズがいっぱい出る漫画で、『少年漫画らしさ』に拘らず、好き勝手した作品が読みたいです。


【ゴーレムハーツ】9話感想:浅すぎて気持ち悪い






(C)大須賀玄



浅っ!浅すぎるだろ!
なんでそんなに手放しで褒められるんだよ!

せめて『確かに、やり方はまずかったかもしれませんが、その純粋さには光るものを感じる』とか、それっぽい理屈を付けてくれよ!

これじゃあ、ただのカルト宗教ですよ。
ノア教だよ、ノア教。

なんでこんなに気持ち悪いかというと、『ゴーレムの涙が破壊された』というマイナスの結果が生まれているのに、『評価がプラスだけ』っていうところですよね。
起きてる現象と評価がチグハグなせいで、見てて気持ち悪くなってきます。


【フルドライブ】10話感想:終わりの始まり




(C)小野玄暉



あ、終わった……

非常に残念ですが、打ち切りコースに入りました。

というのも、作品の軸がブレ始めたからです


何回か言ってますけど、新連載が生き残るための第一条件は、『作品の雰囲気を維持し続けること』です。

例えば、ROBOT×LASERBEAMはなんだかんだ言って、『黒子のバスケ』のノリを一貫して続けてますから、生き残ることは出来ています。
(そっからさらにヒットするかは別問題として)

フルドライブで言うと、持ち味は自分で言ってます。



(C)小野玄暉


まさに、主人公、弾の『毒のある台詞』や、『真っ直ぐな熱い心』がこの作品の売りだったわけです。
それが最近は、管を立たせるために、主人公の魅力が落ちてました。
それにくわえて、今度は『仲間』の存在です。

仲間との関係、チームワークを描く前に、主人公の生意気さを掘り下げる方が先でしょう。


似た作品で『テニスの王子様』がありますけど、あれはかなり長い間、主人公の越前リョーマが、生意気さを武器に戦ってました。
スネイク先輩とか、データ先輩と戦う時も、持ち味が潰されるということはなく、お互いの持ち味を活かしたまま戦ってました。

作品っていうのは、大前提として、同じメッセージ、テーマで描き続けるっていうのが大事なわけで、それが出来ないと、容赦なく打ち切りコースが待っています。



ベスト3と打ち切りレース


ベスト3


1位、eの原点(短編として総合的に見ると、完成度が高いと思います)

2位、ぼくたちは勉強ができない(感情が嫌い方向に大きく揺り動きました)

3位、約束のネバーランド(素直に、次回が気になる)


打ち切りレース


1位、クロスアカウント(もう書くことがない)

2位、ゴーレムハーツ(これが生き残ったらジャンプを疑う)

3位、フルドライブ(あとワンちゃんぐらいはあると信じたい)






2017年ジャンプ感想一覧

→2017年上半期のジャンプ打ち切り作品をまとめて、考察してみた

→2018年01号ジャンプ感想(【近未来杯】結果発表号)

→2018年02・03合併号ジャンプ感想(西尾維新/河下水希読切【パートスリーズ】&クリスマス特別番外編掲載号)

→2018年04・05合併号ジャンプ感想(ONE PIECEショート!掲載号)