今回は、MTGの禁止カードとなった、《創造の座、オムナス》というカードについてご紹介します。
今Twitterで話題で、MTGプレイヤー以外のTCG・DCGプレイヤーでも、耳にする方が多いかなと。
実際けっこうヤバイ禁止改訂で、発売されてからわずか17日で禁止という、遊戯王のモンキーボード(発売167日後禁止)も真っ青のスピード逮捕。
ダミアン(シャドバ・3日でナーフ)みたいナーフですらなく、ただただ禁止です。
一体何やらかしたの?って興味があると思うので、そのクソっぷりを他ゲームのプレイヤーの方や、初心者にも分かるようにご紹介していこうと思います。
目次
【MTG】創造の座、オムナスとは?効果をわかりやすく解説
Omnath, Locus of Creation / 創造の座、オムナス (赤)(緑)(白)(青)
伝説のクリーチャー — エレメンタル(Elemental)
創造の座、オムナスが戦場に出たとき、カードを1枚引く。
上陸 ― 土地が1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、このターンで初めてこの能力が解決されるなら、あなたは4点のライフを得る。二度目なら、(赤)(緑)(白)(青)を加える。3度目なら、創造の座、オムナスは各対戦相手とあなたがコントロールしていない各プレインズウォーカーに、それぞれ4点のダメージを与える。
4/4
オムナスの基礎スペック
オムナスは、4コスト4/4のクリーチャー(モンスター、フォロワー)です。
4コストに対して4/4っていうのは、まあ平均的なサイズで、特別強いわけではありません。
何なら、このオムナスっていうカードは4色のマナが必要になります。どういうことかっていうと、コストが重い。
MTGのマナっていうのは、土地カード(デッキに25~26枚)から出すものです。
1ターンに1枚、手札から出していって、土地1枚から1ターンに1度、1マナが出るというルールです。
だから、4マナのカードは早くても4ターン目。土地を引けないと5ターン目以降に出るカードです。
更に、土地は1枚につき、1~2色しか出ないのが基本。4色揃えるのは、普通のデッキだと結構難しいです。
更に、オムナスは伝説のクリーチャー。
伝説のクリーチャーは、自分の場に同名カードが1枚しかいられないという制約があります。
つまり。オムナスって普通のカードと同じくらいの攻撃力守備力で、めちゃくちゃ出づらいカード。
しかも2体並べることはできないんです!つまりゴミですね!
……そんなはずもなく。テキストボックスに何も書いてないならそうなんですけど、何やらいろいろ書いてますね。オムナスの効果について解説します。
オムナスの効果1:戦場に出た時、カードを1枚引く。
出たらカードを1枚引ける効果です。
カードゲーマーなら、この1文の強さが痛いほどわかるでしょう。出して損がない。
通常スペックのカードに、1枚ドローがついているってだけで強いです。
ただ、4色のカードはやっぱり出しづらいので、これはむしろ、
「ドローくらいついてないとやってらんないぜ!」っていうのが一般的ですね。……他の効果が普通レベルなら。
他の効果もみていきましょう。
オムナスの効果2:上陸1回目:4点回復
そして、メインとなるのは「上陸」という効果です。
このオムナスが場にいるときに、土地カードを置くと効果が発揮されます。
このターンに初めて土地を置くと、4点のライフが回復します。
このゲームの初期ライフは20。その1/5のライフが、土地を置く(当たり前の行為)だけで得られます。
それだけならまあ、って感じですけど、忘れちゃいけない。
標準ボディのクリーチャーを出して、しかもドローしてるんですよね。この時点でかなり強めのカードです。
オムナスの効果3:上陸2回目:4色・4点のマナを出す
そして、2回目に上陸をすると、4マナを出します。
……ここで、「え!ちょっとまって!」って思った方もいるかもしれません。
そう、土地カードは1ターンに1度しか出せないはずじゃないの?と。
ルール上はそうなんです。ただ、カードの効果によって、「土地カードを場に出すカード」があるんです。
だから、土地カードを増やすようなデッキで使ってね!って言ってるわけですね。
つまり、他のカードとのコンボで使っておくれ。っていうカードですよ。単体でぶっ壊れてるわけじゃないよ!やったね!
(後で説明しますが、お手軽コンボで上陸しまくります。最速で逝ったやつがぶっ壊れてないわけがなかった……)
話がそれましたが、2回目の上陸効果を説明します。
何らかのカードの効果で、このターン2回めの土地を置くと、4色のマナを生み出します。
4マナっていうのがどれくらいかピンとこない方が多いと思いますが……
単純に、オムナス自身のために払ったコストが帳消しになってる、って言うと、「あれ?おかしくね?」ってなると思います。
そして、MTGっていうのは大体において、4~5ターン目は4マナのカード1回プレイして終わり、って感じなんです。
が、この効果を使えると追加でカードをプレイする権利が得られるイメージです。
これによって、ドローカードを使えば、次のターンも上陸能力を使うための土地を集められるって寸法です。
いよいよ怪しくなってきましたね? でもまだ地獄は終わってねえんだ。
オムナスの能力4:上陸3回目対戦相手のライフと、プレインズウォーカーに4点のダメージ
そして最後に、3回目の土地を置くと、相手のライフを最大ライフ20点の1/5削ります。
自分はドローして、ライフを回復して、マナを加速した上で。そんなことあるか??
更に、プレインズウォーカーってカードにもダメージを与えます。
これはMTG特有の概念なので、説明します。
プレインズウォーカーとは、もう1人のプレイヤー、みたいなカードです。
右下に忠誠度カウンターっていうのがあって、それがライフのようなもの。
1ターンに1度、そのライフを増やしたり減らしたりすると、対応した能力を使えます。
こいつらを倒すには、忠誠度を0にする必要があります。
能力を使ったら減っていくのと、クリーチャーで攻撃したり、カードの効果でダメージを与えると死にます。
だから、「相手プレイヤーを攻撃する?それとも、厄介な効果を使うプレインズウォーカーを倒す?」っていう、ミニゲームみたいなものが展開されます。
……が、オムナスはその二択を無視して「両方に4点入れりゃいいんだよバーカ!!」と言わんばかりの効果で4点を両方に飛ばします。
ちなみに4点も入ると、大抵のプレインズウォーカーは瀕死である。
っていうのが、オムナスっていうカードに書かれている文章の意訳です。
標準サイズに1ドローの中型クリーチャー。これだけでまあまあ驚異なものの、土地を置いていくごとにハチャメチャします。
……ただ、MTGをやってない、初心者っていう人にはまだピンとこないと思います。
だって、土地はルール上、1ターンに1回しか置けないって説明しましたから、当然です。
そこで、オムナスと組み合わさってしまったカードたちをご紹介しましょう……
オムナスを禁止へぶち込んだ相棒その1:寓話の小道
Fabled Passage / 寓話の小道
土地
(T),寓話の小道を生け贄に捧げる:あなたのライブラリーから基本土地カード1枚を探し、タップ状態で戦場に出し、その後あなたのライブラリーを切り直す。その後、あなたが土地を4つ以上コントロールしているなら、その土地をアンタップする。
わかりやすく説明すると、
この土地はマナを出せない代わりに、この土地を墓地へ送ると、好きな色が一色だけ出る土地をデッキから出すよ。っていうカードです。
これ何がやばいかっていうと……
・オムナスは4色。4色は出しづらいのに、「足りてない色」の土地を探して出せることで、めちゃくちゃ出しやすくなった
・デッキから土地を出す効果は、「カードの効果」なので1ターンに1回の制約とは関係ない。
つまり、この土地を手札から出す→この土地を生贄にして、デッキから土地を出す→上陸2回達成!!4点回復!!4マナ発生!!
2枚のお手軽コンボでオムナスの能力を簡単に発揮します。馬鹿なのか???
オムナスを禁止へぶち込んだ相棒その2:僻境への脱出
Escape to the Wilds / 僻境への脱出 (3)(赤)(緑)
ソーサリー
あなたのライブラリーの一番上からカードを5枚追放する。次のあなたのターンの終了時まで、あなたはこれにより追放されたカードをプレイしてもよい。
このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
わかりやすく説明すると……
・デッキの上の5枚のカードを、次のターンまで使用可能に(つまり5枚ドロー)
・土地を1枚しか出せないっていうルールを、もう1枚おけるようにする
まあ、もう、2回上陸するのは言わずもがなですよね。
もし手札に土地がなくても、めくった5枚の中にあったら出せますから、上陸はだいたいできます。
ただし、めくったカードを使うには当然マナが必要になります。
僻境への脱出を使うのに5マナ使ってますね?だから、めくったカードを実際に使えるのは次のターンだなー残念だなー……。
→オムナスで4マナ、出てます。多分なんか使えます。
更に次のターンになると、僻境への脱出を使うために使ったマナが復活します。
マナが足りなくてめくったカード使えないよーってこともないでしょう。
何なら僻境への脱出から、僻境への脱出がめくれて宇宙へと到達することもあります。
ちなみに、こいつも「オムナス消えても別デッキと悪さするよね」ってことで一緒に禁止になりました。最後まで仲良し。
オムナスを禁止へぶち込んだ相棒その3:水蓮のコブラ
Lotus Cobra / 水蓮のコブラ (1)(緑)
クリーチャー — 蛇(Snake)
上陸 ― 土地が1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、好きな色1色のマナ1点を加える。
2/1
上陸するたびに、好きな色のマナを出せる2マナクリーチャー。
最初に、オムナスって色がすごく多くて、出しづらいんですよーって言いました。
が、このカードのおかげで足りない色を出すことができるようになります。
しかも、睡蓮のコブラ、上陸なのでオムナスとのシナジーがやばいやばい。
オムナスの効果使う度に、追加で1マナ出るわけですから。これはダメだよね。
更に!それだけじゃないんです。イメージしてみてほしいんですけど……
2ターン目にコブラを出します(土地2枚)。
3ターン目、土地を置きます(土地3枚、3マナ出せる状態)。コブラで1マナ発生。
あっっれえええ4マナあるぅぅぅぅぅ!?
そうです3ターン目にオムナスが出ます。
当然この場合、もう土地は出してしまっているので、さすがに上陸はできません。
だから、次のターン除去されちゃったら寒いじゃん!って思うことでしょう。
でもこいつ、1ドローしてます。除去を撃つと損することが確定してるんです。
しかも、3ターン目となると除去する手段も限られてます。
除去できるとも限らないし、除去しても損をする。
じゃあ無視するの?→負けが概ね確定します!!!
……というわけで、オムナスがいかにイカれていたか、ってことがおわかりいただけたんじゃないでしょうか。
実際に、直前の大会では32人中23人のプレイヤーがオムナスを含むデッキを選択。
使用率は72%と圧倒的に無双した結果、無事ご臨終です。
ちなみに番外編として、オムナス禁止の2週間前に禁止となったカードもご覧になってみてください。
オムナスと仲良く監獄入りした相棒:自然のタイタン、ウーロ
Uro, Titan of Nature’s Wrath / 自然の怒りのタイタン、ウーロ (1)(緑)(青)
伝説のクリーチャー — エルダー(Elder) 巨人(Giant)
自然の怒りのタイタン、ウーロが戦場に出たとき、これが脱出していないかぎり、これを生け贄に捧げる。
自然の怒りのタイタン、ウーロが戦場に出るか攻撃するたび、あなたは3点のライフを得てカードを1枚引く。その後、あなたはあなたの手札から土地カード1枚を戦場に出してもよい。
脱出 ― (緑)(緑)(青)(青),あなたの墓地から他のカード5枚を追放する。(あなたはあなたの墓地から、このカードをこれの脱出コストで唱えてもよい。)
6/6
このウーロは、3コストで普通に出すと死んでしまいます。
代わりに、出た時に1枚引いて、1枚追加で土地を出して、ライフを3点回復します。
この時点で、「あ……ドローしながら上陸するんだ」って思った貴方。正解です。
ライフも回復するので、準備が必要なオムナスデッキの猶予期間もできます。
そして、墓地にいるときに、他の墓地を5枚除外すると復活。
このときにもドローして回復して土地を出します。そして6/6っていうサイズ(これは強すぎてバグってるサイズです)。
攻撃するときにも同じ効果が使えるのでもうめちゃくちゃ。無限にアドバンテージを稼いで上陸して好き放題。
さすがにダメだよねってことで先に死んでおりました。
世間は「相性いいウーロ逝ったし、しばらくはオムナスも大丈夫なんだろうなー」ということでオムナスデッキを握る人多数。
値段も上がって、決死の思いで買った人も多かったことでしょう。
からの。
「わりーわりー、オムナスしか勝たん!!wwwww禁止!!!wwwwww」
まとめ
というわけで、オムナスが最速の17日で禁止となった理由を解説してきました。
普通のスペックを持ちながら、まず1ドローがついてて強い。土地を出す度に、バグった効果がポンポン使えて強い。
本来出しづらいはずなのに、色も簡単に出せるのでリスクもない。
相棒たちにも恵まれ、世界最高峰の大会でも使用率70%超えと暴れ散らかし、無事死亡。
……いや、MTG自体はガチでいいゲームなんですよ。
いろんな遊び方ができて、古参も新参も、ガチ勢もカジュアル勢も、世界観だってめちゃくちゃ凝ってて……本当に、懐が広い。
雰囲気が知りたい方は、ニコニコ漫画で、すべての人類を破壊する。それらは再生できない。って漫画が連載中。
MTG漫画としても、ラブコメ漫画としてもめちゃめちゃ良いので、ぜひ読んでみてください。
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