
この記事では、ヤングアニマル 2025 No.5で連載された、3月のライオンの最新話・213話のあらすじと感想を語っていきます。
一部ネタバレを含んでしまうので、まだ読んでいない方は雑誌を読んでからご覧ください。
前回、島田は吹っ切れて零を追い詰める……!?
目次 [閉じる]
3月のライオンの最新話・213話のあらすじ(ネタバレ注意)
零と島田の対局中。
次々と詰めろを仕掛けてくる島田に、零は思う。
彼の自分への厳しさが、圧となって襲い来るのを感じて……自分はこの人のことを、何もわかっていなかったのだ、と。
そして対する島田は、一心不乱にアクセルを踏み続ける――。
3月のライオンの最新話・213話の感想(ネタバレ注意)
ここからは、個人的な感想を語っていきます。
3月のライオンの213話の感想:魂こもってる
壮絶
私も、この作品の感想を書いて長いですが、これほどまでに言語化が難しく、かつ心を揺さぶられた回は初めてかもしれません。
なんというか、あまりにも絵に力がありすぎる。
島田さんの執念と怨念が、コマから飛び出してこちらに襲いかかってくるのではと錯覚するほどに、あまりにも迫力のあるコマが多すぎました。
特に、最後の見開き2ページが凄まじい。
作者の羽海野チカ先生の画風は個人的に、絵本のような温かみのあるタッチが魅力的だと思っているのですが、
まさかその絵本らしいタッチそのままに、島田さんの溢れんばかりの絶望や怒りといったネガティブな感情がこんな形で描写されるなんて。
読んでいて、まるで一枚の絵画かと圧倒されてしまいました。
正直、今回はこの2ページが見れただけで、雑誌代以上にもとが取れたと感じています。
さて、今回は終盤の怒涛の展開も凄まじかったのですが、ぶっちゃけ冒頭の島田さんも十二分に壮絶でした。
島田
――彼女が去ったあと、オレは連勝を続けた
胃痛でのたうち、水も喰いものも喉を通らず、文字通りガイコツのようになったが、
眼と脳と手が、ギラギラと繋がって行くのがわかった
別れて良かったと思った 心から そう思った
彼女が、こんな人間から、逃げ切ってくれた事に
213話(ヤングアニマル 2025 No.5収録)より
(C)羽海野チカ・白泉社
心臓に悪い
一番最初にこのセリフを見た時にびっくりしましたよ。
一瞬、島田さんが「彼女と別れた悲しみのお陰で強くなって勝てるようになったぜ!いえ~い!!」みたいなこと言い出したのかと。
そして、実際の真意は全くの真逆
あまりにも自己肯定感が低いというか……どこまで自分に厳しいんだ、このひとは。
そしてさらに、その後の島田さんの考えが凄まじい
島田
――本当のところ
ブレーキを踏もうがアクセルを噴かそうが、
辿り着く先は、そう変わらないと思っている
――ただ
「命が惜しい」と思っているうちは
開かない扉があるのだとしたら
何ひとつ迷わず オレは 開けたいのだ
213話(ヤングアニマル 2025 No.5収録)より
(C)羽海野チカ・白泉社
文字通り、命がけで島田さんが戦っているのだというのが強く伝わってきます。
これを見て私は誠に勝手ながら、作者のチカ先生と、島田さんの考えが非常にリンクしているのではと感じました。
というのも、作者様も以前、Twitterで、「自分は漫画に命をかけている」という趣旨のことを仰っていたのです。
年配の他社の編集さんになぜ将棋を?と訊かれ「棋士と漫画家は似た所があるような気がして」と答えたら「どこが!?だって棋士は命をかけてるんだよ!?」と。あと「ライオンはさぁライトノベルなんだよね。もっと棋士の深い所を描いてよ」と。彼は漫画とライトノベルを何だと思ってるんだろう
— 羽海野チカ
(@CHICAUMINO) March 28, 2016
私たちが命をかけていないとお思いか
— 羽海野チカ
(@CHICAUMINO) March 28, 2016
実際、コミックスのあとがきなどを見るに、羽海野チカ先生はご家族の介護などもされながら、まさに命を削って作品を描かれているのだということが伝わってきます。
島田さんも、羽海野先生も、ご自身が納得行く高みに登るためならば、他の何を犠牲にしても進み続ける――
そんな、あまりにも刹那的で、しかし美しい姿が、見ていて非常に胸を打たれました。
そして、同時に、それに相対する零君――戦いだけでなく、新たなパートナーとともに歩む事を選んだ零君が、こんな全てをかなぐり捨てる島田さんとどう戦うのか?
二人の決着はどうなってしまうのか?
続きが、本当に楽しみです。
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まとめ
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